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東京都が太陽光を義務化

東京都が、新築住宅に太陽光発電システムを設置することを義務付ける制度の施行を目指す方針を固めました。

全国初となる東京都のこのような取り組みは、太陽光発電の工事会社ネットワークを運営する株式会社ソーラーパートナーズにとって、大きな追い風になると思います。
太陽光発電は、コスパも良くて地球環境にも優しく、エネルギー自給率も高めてくれる理想的な製品だと私は思っていますので、太陽光発電を盛り上げてくれるこのような制度が施行されることは、素直に嬉しいです。

「義務化」と聞いて反発する意見も色々出ている中で、なぜ東京都はこうした方針を発表したのか、今回は東京都が出したこの方針について説明したいと思います。

義務化する理由

現在、東京都では、2050年ゼロエミッション、2030年カーボンハーフの実現に向けて、再生可能エネルギーの利用拡大を推進しています。
この目標を本気で実現するためには、再生可能エネルギーの筆頭格とも言える太陽光発電の普及をさらに広めていく必要があります。
ところが、東京都にはメガソーラーを建設できるような広大な土地はあまりありません。
そこで、大都市東京にとって大きなポテンシャルをもつ「屋根上」を活用しようとしているわけです。

住宅用太陽光発電の普及が世界的に進んできた影響で、今ではすっかりコストも下がり、一般的には10年程度で初期投資が回収できるようになっています。
さらに東京都には手厚い補助金制度もあるため、東京都に限っていうと、初期投資はわずか6年程度で回収できるようになっています。
これだけ不安定な現代で、ここまで堅実な投資はなかなかないのではないかと思います。

また、「太陽光発電を製造したときにエネルギーを使うので、地球環境に良いわけではない」ということを言う人もいまだにいますが、これは何十年も前の話です。
現在では、2年もかからずに製造に要したエネルギーを賄え、その後20年、30年とエネルギーを生み出してくれる、地球環境に優しい発電システムになっています。

さらに、エネルギーの供給に不安を感じる昨今では、自宅で電気を生み出せる安心感は、これまで以上に価値を感じる人が増えているのではないかと思います。

これだけ良いものだからこそ、東京都も太陽光発電を義務化しようとしているわけです。

義務化の対象はハウスメーカー

「太陽光義務化!」と聞くと、これから都内で家を建てる個人は、必ず太陽光発電を設置しなければいけないという印象を抱きますが、実は今回東京都が出した方針では、義務化の対象は個人ではなく、ハウスメーカーです。

しかも、ハウスメーカーの中でも年間の都内供給延床面積が合計20,000平方メートル以上の大手企業だけが対象となる予定なので、実際に義務化の対象となるハウスメーカーは50社程度になるようです。

元々大手のハウスメーカーでは、太陽光発電の設置を積極的に進めている企業が多いため、義務化になったとしても大きな混乱なく進められるのではないかと思います。

全件に設置する必要なし

義務化の対象はハウスメーカーですが、実は、対象となるハウスメーカーが建てる住宅全件に太陽光発電を設置しないといけないわけでもありません。

太陽光発電は、文字通り太陽光を使って発電するシステムなので、周りの建物の影響で影になることが多い住宅や、そもそも屋根面積が小さくて太陽光発電を少ししか設置できない住宅などでは、せっかく太陽光発電を設置しても思うような効果が出ません。
そういったことも考慮して、対象となるハウスメーカーが建てる住宅すべてに太陽光発電を設置しなければいけないわけではなく、太陽光発電に不向きな住宅は除いて考えて良いそうです。
さらに、設置可能な住宅のうち、区域に応じて設定された算定基準率と1棟あたり2kWという数字を掛けて、再エネ設置基準を計算し、その基準を上回る量の太陽光発電設置を義務付けるという制度になる見込みです。

「太陽光義務化!」という強いキーワードが独り歩きしているせいで一部の反発を招いているようにも思いますが、このように見ていくと、実際にはかなり現実に即した方針になっていると感じます。
都内の建物にどれくらい太陽光発電を設置するポテンシャルがあるかを示す東京ソーラー屋根台帳の運営や、手厚い補助金制度など、以前からさまざまな支援策を講じてきた東京都らしい、きちんと配慮された制度を施行しようとしていると感じます。

キャズム越えの推進力に

新商品が世の中に普及するかどうかを考える際に、「キャズム」という考え方があります。
これは、新商品が出たときにすぐに飛びつく「初期市場」と、世の中の多くの人が買うようになる「メインストリーム市場」の間には、「キャズム」と呼ばれる深い溝があるという考え方です。
このキャズムを越えない限り、新商品は世の中に広く普及していかないということです。

住宅用太陽光発電システムを考えた場合、現在の普及率は、まさに初期市場からメインストリーム市場へと移行しようとしている段階だと言えます。
つまり、これからキャズムを越えなければいけないわけですね。

そのような状況の中で、今回発表された東京都の方針が推進力となり、東京都では間違いなくキャズムを越えて、メインストリーム市場に広がっていくことだと思います。
東京都における先進的な取り組みは、今後、他の自治体にも広がっていき、全国的にキャズムを越え、住宅用太陽光発電システムの普及がさらに進んでいくことになることでしょう。

私たち株式会社ソーラーパートナーズが貢献できる機会はまだまだ広がっていきそうです。